再エネに中国の影、単なる「ミス」では済まされない 河野太郎氏は外すべき 松井一郎
(前大阪府知事、前大阪市長 松井一郎)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が25日(日本時間26日)、元通訳の水原一平氏が違法賭博に関与した疑いで解雇となった後、初めて報道陣に取材対応をした。大谷選手は「自分が賭けたり、賭けを頼んだことはない」「水原氏が(大谷氏の)口座に勝手にアクセスして、ブックメーカーに送金した」「水原氏の借金返済に同意していない」「悲しくショックだ」という趣旨の説明をした。
現在、この件について、日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)が捜査を、大リーグ機構(MLB)が調査をしている。真相は、その結果を待つしかない。個人的感想としては、「大谷選手は野球一筋でずっと努力を続けてきた。一般社会のルールについて理解していないこともあったのだろう」と考えている。
大谷選手ほどの世界的スーパースターになると、その地位や資産、知名度を目当てに多くの人々が集まってくる。中には、怪しい人々もいる。そうした輩から、大谷選手を守る役割だった水原氏が裏切っていたわけだ。
こんな問題で、大谷選手のキャリアが傷つけられるとすれば残念だ。「100年に一度の逸材」といわれる大谷選手が活躍を続けて引退するまで、私は応援を続けたい。
大谷選手が教訓にすべきは、「好事魔多し」「他人の心の奥底は見えにくい」「リスクヘッジとして、複数のアドバイザーを持つべきだ」ということではないか。どうか、ピンチをチャンスに変えてほしい。
さて、再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料の一部に、中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていたという。内閣府規制改革推進室が23日、X(旧ツイッター)の公式アカウントで認めた。問題の資料は、タスクフォースの民間構成員が提出したものだという。
河野太郎規制改革担当相は「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していく」とXに書き込んだが、単なる「ミス」では済まされない。同様のロゴ入り資料は、経産省と金融庁の会議体でも提出されていたという。
エネルギー戦略は、国家の存立に直結する最重要政策課題である。あくまで、日本の国益に基づいた意思決定が下されなければならない。日本の再エネ政策に、中国の計略・思惑が入り込んでいる危険性があるのだ。
「政治とカネ」の問題も深刻だが、「国家のエネルギー戦略」の疑惑も極めて重要である。野党はこの疑惑について徹底的に追及すべきだ。岸田文雄政権も疑惑について調査すべきだが、過去に親族企業と中国の関係が報じられた河野氏は外すべきではないか。李下に冠を正さずだ。
ともかく、わが国が独立国として生き残るためにも、今回の疑惑追及を中途半端で終わらせてはいけない。
原文出處 產經新聞