ロシア民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏が搭乗していたとみられる小型ジェット機の墜落で、露関係当局は23日、原因究明を開始したと発表した。ただ、ロシアでは過去にもプーチン政権と対立した要人らの不審死が相次いできたことから、ウクライナや欧米からは早くも、武装反乱を起こしたプリゴジン氏を露政権側が「粛清」したとの見方が出ている。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は23日、交流サイト(SNS)を通じ、墜落について「戦争の霧が晴れるのを待つ必要がある」とし、ロシアによる原因究明の信用度に疑義を表明。ワグネルの反乱に言及しつつ、「確実なのは、プーチン露大統領は自分に恐怖を与えた者を決して許さないということだ」と指摘した。墜落は反乱に対する粛清であると同時に「背信は死だ」というプーチン氏から露エリート層への警告だとする見方も示した。
バイデン米大統領も23日、墜落の事実関係を把握していないとしつつ、「ロシアでは出来事の裏にプーチン氏がいないということはあまりない」と述べ、露政権側の関与を疑う姿勢を示した。記者団への発言をロイター通信が伝えた。
ロイターによると、ポーランドのラウ外相も同日、「墜落を偶然だと考える人を見つけるのは難しいだろう。プーチン氏の政敵が自然死しないことは頻繁に起きる」と述べた。
露国内にも墜落への政権側の関与を疑う声が出ている。ワグネルに近い露メディア「グレーゾーン」は23日、「プリゴジン氏はロシアの裏切り者の仕業で死亡した」と指摘。露軍が防空システムでジェット機を撃墜した可能性に言及した。
露独立系メディアも墜落要因として、露軍に撃墜された可能性のほか、露治安当局により仕掛けられた爆発物が機内で爆発した可能性もあると指摘した。
原文出處 產經新聞