台湾の最大野党・中国国民党の朱立倫主席が今月初めから訪米し、〝親米〟を盛んにアピールしている。親中派のイメージを極力薄め、今秋の統一地方選を有利に運びたい思惑とみられるが、米側の反応は必ずしも芳しくない。
朱主席は6日、米ワシントンのブルッキングス研究所で講演し、「私たちは常に親米的であり、親中派と呼ぶのは過ちだ」と強調した。中国との関係改善を主張する国民党は、中国への対抗姿勢を強める与党の民主進歩党と異なり、「中国寄り」とのイメージが定着している。近年、中国軍機が頻繁に台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入するなどして、台湾で反中感情が高まる中、支持率も低迷している。
次期総統選(2024年)の前哨戦でもある統一地方選を11月に控え、党幹部から「親中派のレッテルを貼られたままでは選挙を戦えない」との声も相次ぎ、党執行部は「国民党は親米的な政党だ」と内外に強調するようになった。
朱氏は訪米中、国民党の駐米事務所を14年ぶりに再開させるなど、米国重視の姿勢を全面的にアピールして求心力回復を狙う。朱氏は米国の政界、メディア関係者らと交流する際、融和的な党の対中政策を封印し「米国とともに民主主義を守る」とも強調している。
ただ、国民党は新疆ウイグル自治区や香港などの人権問題について中国政府をあまり批判せず、台湾の米国からの武器購入にも消極姿勢を示すなどしており、国民党への米側の不信感は強い。
関係者によると、朱氏はバイデン政権内の要人複数に会談を申し込んだが、7日までに実現できていない。6日に米国務省を訪問したものの、面会した米国側の相手について「古い友人」としただけで、名前と肩書を記者団に明らかにしなかった。台湾では「責任のある人物に会えなかったのではないか」との見方も出ている。
原文出處 產經新聞