牛丼チェーン吉野家の常務取締役の男性が、早稲田大学の社会人向け講座で「生娘(きむすめ)をシャブ(薬物)漬け戦略」などと発言し、吉野家ホールディングスが解任しました。一連の発言には複数の問題点が絡み合っているように映ります。保険会社MS&ADホールディングスなどで社外取締役を務め、人事管理と異文化理解が専門のコンサルタントのロッシェル・カップさんに聞きました。
――若い女性向けマーケティング戦略を説明する際に、「生娘をシャブ漬け戦略」「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢(むく)・生娘なうちに牛丼中毒にする」という発言があったとされます。ネット上では「男に高い飯をおごってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対に食べない」という発言もあった、という指摘もあります。
吉野家の元常務取締役の発言が波紋を呼んでいます。記事の後半では、マーケティングの観点からも発言を分析。女性蔑視の失言が絶えない社会の背景を考えます。
言うまでもなく内容が下品で、企業の経営層の発言としてひどいと感じました。こういった発言をしてもOKというご本人の無神経さに驚きました。
もちろん、若い女性をターゲットに、ファンになってもらおうと目指すこと自体は、マーケティングの一環として悪いことではありません。
ただ、マーケティングの場で「処女」という意味もある「生娘」という言葉を使うのは、冗談のつもりでも趣味が悪いです。
私の友人に、長年別の牛丼チェーンに通っている女性がいます。彼女が大学を出たての頃、給料日に牛丼を食べたそうです。お金に余裕がなかった当時、ちょっとしたぜいたくだったそうですが、おいしくてファンになりました。
その後、彼女は成功し、様々なグルメを食べてきましたが、それでも牛丼のファンであり続けていると。
若い女性だけでなく、どんな女性であっても、自分の人生を自分で決めて、お金を払っておいしいものを自分で選ぶ。
今は、そういう自由を求めている人が多くなっています。
男性の一存や戦略で、女性が何を食べるか決められるかのような言いぶりは、あまりにも時代錯誤ではないでしょうか。
原文出處 朝日新聞