ロシアがウクライナ侵攻を続ける中、台湾当局は中国による台湾侵攻を想定し、軍事訓練体制を強化するなど戦力向上に力を入れている。台湾の陸、海、空軍は3月から金門島、東沙諸島などで軍事訓練を実施しているほか、有事の際に動員される予備役の訓練期間を例年より倍に延長した。
台湾紙、自由時報などによると、台湾の海・空軍は7日から16日まで、台湾東部と南部の海空域で合同訓練を実施。空軍の航空機が高さ50メートル以下の低空訓練や、海軍艦艇との連携確認などを行う。また、陸軍は3月中に新竹市周辺、離島の金門島、澎湖、東沙諸島などで、火砲射撃などの訓練を実施する。
台湾軍の高官は「ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことを受け、警戒態勢を強化している。地域情勢のあらゆる変化にも対応できるよう、訓練と努力を続ける」と強調した。
一方、台湾の国防部(国防省に相当)は有事の際に動員する予備役の戦力強化のため、訓練期間を従来の7日から14日間に延長。昨年末に決まったものだが、最初の召集日がウクライナ侵攻が始まった後の5日だったため、メディアに大きく取り上げられた。召集のため家族と別れた30代の男性は地元テレビの取材に対し「自分の故郷を自分で守らなければならない」と語った。
台湾社会はこれまで、台湾有事の際の米軍支援に高い期待を寄せていたが、ウクライナ侵攻に米軍が介入しなかったことなどを踏まえ、蔡英文政権は「自衛の決意と能力を持つことが大事」と繰り返し強調するようになった。
こうした中、野党「時代力量」の複数の立法委員(国会議員)は7日に記者会見を開き、2018年に事実上廃止した徴兵制を「外敵の侵略に抵抗するため」復活するよう呼び掛けた。
台湾では60年以上、徴兵制を実施したが、対中融和路線の馬英九政権が2012年に志願制への移行を決め、18年に徴兵制が事実上廃止された経緯がある。
原文出處 產經新聞