中国の習近平(シーチンピン)国家主席、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相が5日、オンラインで会談した。米国のバイデン政権が「中国包囲網」を視野に日本や欧州に民主主義国の結集を呼びかける動きに対し、中国は経済協力をてこに独仏に接近し、切り崩しを図る構えだ。
3氏の会談は4月以来。中国国営中央テレビ(CCTV)のウェブサイトによると、習氏は世界の新型コロナウイルスの感染状況について「依然として厳しい」との認識を示したうえで、「経済回復の見通しは不透明で道は遠い。世界はこれまで以上に勘ぐりや対立ではなく、互いを尊重し、誠意を持って協力する必要がある」と強調した。
そのうえで、「世界には国連を中核とする国際体系しかなく、国連憲章が唯一のルールだ」と米国を牽制(けんせい)。「中国が望むのは自らの発展であり、他人に取って代わることではない。『一帯一路』を唱える目的は共同発展のチャンスを作り出すことであり、欧州が平和と安定、発展と繁栄をともに守ることを希望する」などと訴えた。
習氏は、独仏首脳に対しビジネス関係者などの往来を容易にする「ファストトラック」について制度を整える意向も示したという。
仏大統領府も5日、3カ国の首脳が会談したと発表。ローマで開かれる10月末の主要20カ国・地域首脳会議に向け意見調整した一方、中国の新疆ウイグル自治区を念頭に強制労働問題での要求も伝えた。独仏は中国警戒論に傾く米国とは異なり、中国を含めた形での国際協調を目指す姿勢を示している。
原文出處 朝日新聞