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ミャンマー地震「入域困難」 内戦が阻む被害把握・救援活動 軍政批判の火種にも


大地震が発生したミャンマーで、内戦が被害状況の把握を阻んでいる。国軍の全権掌握後、民主派や少数民族の武装勢力との内戦が激化。武装勢力が優勢な地域で、被害把握や救援活動が難航する恐れが強まっている。軍事政権が疎遠だった国際社会からの支援をどこまで受け入れられるかも不透明で、対応を誤れば政権批判が強まりかねない。

国軍がクーデターを起こした2021年2月以降、ミャンマーでは高度な自治や独立を求めてきた少数民族の武装勢力に加え、民主派との内戦が激化した。国軍は北東部シャン州や西部ラカイン州の司令部を制圧され、英BBC放送の調査によると昨年11月時点で国軍の支配地域は国土の21%に減った。

今回の地震の震源地は中部マンダレーの近く。少数民族や民主派の武装勢力と国軍との内戦の最前線が迫る位置でもある。

数年前までマンダレー付近で人道支援に従事していた国際NGO関係者は「武装勢力の優勢地域は危険な上、通信網や電力網、道路が脆弱(ぜいじゃく)。支援名目でも入域は困難で、被害把握は容易ではない」と指摘する。

被害が判明しても、支援が届くかは別問題だ。

BBCによれば、国軍は地震が起きた3月28日、武装勢力が拠点とするマンダレーの北東約80キロにあるシャン州の都市を空爆。7人が死亡した。民主派の「挙国一致政府(NUG)」は3月30日から自衛をのぞく軍事行動を2週間停止すると発表したが、国際NGO関係者は「停戦が持続するのは難しい」とみる。武装勢力が優勢な地域での救援活動についても、「国軍が認めると思えない」と悲観的だ。別の関係者によると、内戦以降、医療従事者の国外転出も相次いでいるという。

支援を担う側の体制も揺らいでいる。トランプ米政権はミャンマーでの支援活動に従事してきた米国際開発局(USAID)の解体を推進。トランプ大統領はミャンマーへの支援を表明したものの、ロイター通信は3月31日、関係者の話としてUSAIDへの資金削減の影響で初動が遅れたと報じた。

原文出處 產經新聞