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「未来の韓国大統領候補」与野党の若手議員2人に聞く 対日関係、国内政治はどうなる

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権与党が惨敗した4月の総選挙を経て新たに構成された韓国国会は、今月5日の最初の本会議から与党議員が欠席し、多数派を占める野党議員が国会議長選出を強行する波乱の幕開けとなった。与野党が非難合戦を繰り広げ政策議論が深まらず、対日政策など外交も政争の具となる韓国政治を、若手議員らはどう見ているのか。「未来の韓国大統領候補」に名前も挙がる与野党の30代議員2氏に、日韓関係や韓国社会の未来をテーマに話を聞いた。

「10年で韓国社会変える」
保守系与党「国民の力」金宰燮議員(36)

◇キム・ジェソプ=1987年生まれ、ソウル大法学部卒。与党が惨敗した4月の総選挙では、革新系野党の地盤であるソウル北部で唯一の議席を獲得した。

--「ヘルス部長官(スポーツジム大臣)」のニックネームで知られる

「選挙期間でなければ、週7日ジムに通っている。韓国では体育政策の話をする政治家がなかなかいないので、支持者が命名してくれた」

--政治家になったきっかけは

「祖父が北派工作員(北朝鮮に派遣された韓国スパイ)だったことなどもあり、根っからの保守の家庭で育った。しかし、友人らとIT企業を経営していた2019年当時、保守政党が極端に右傾化し『有能で洗練された』保守のイメージが崩壊していた。保守政党幹部に不満を話す機会があり、そこで政治の道に進むよう誘われた」

--韓国の保守陣営が抱える問題は

「日本の自民党は、外交や歴史問題では強硬な立場をとっても、一方で生活に密着した政策を多く出しているから政権を維持できている。韓国の保守が学ぶべき点だ。私は対北強硬論者だが、韓国社会では富の再分配が不足しており、積極的に格差を解消しなければいけないという意見では野党と一致している」

「もはや反共産主義を国の旗印として強調する時代ではない。保守は『国家の持続可能性』を重視する、と国民に伝えることが重要だ。反日感情などを韓国国内政治に利用する外交は保革双方で行われてきたが、それでは国は持続しない」

--日本との関わりは

「ソウル大法学部に在学当時、体育教育専攻の学生に一人混じってラグビー部員として活動し、東大ラグビー部とも交流戦をした。(体育専攻の学生がいない)東大がわれわれより強いことに驚いた」

--日韓の関係改善をどう進める

「まずは軍事協力の強化だ。北朝鮮問題ではヒューミント(ヒューマン・インテリジェンス=人的情報収集)にたけた韓国と、人工衛星などを活用したシギント(シグナル・インテリジェンス=電波情報収集)が強みの日本の連携で効果が望める」

「その上で、両国間の労働力の移動自由化を促進することが重要だ。経済交流が活性化し、友人・家族が相手国にいるという状況になれば紛争が減ることは欧州でも実証されている」

--日韓共通の課題である少子化問題をどう解決する

「少子化の原因は複合的だが、韓国で核となるのは住宅問題だ。家を保有してこそ安定を感じられる国民性がある。高齢者の福祉政策が不十分な中で、不動産を担保に生活資金を得るのが老後を保障する唯一の手段にもなっており、住宅供給の安定が喫緊の課題となる」

--韓国社会をどう変えたいか

「法学部を出たら弁護士になる、大学を出たら一流企業に就職する。韓国は決まった道から外れることが恥ずかしいとされ、多様な人材を育成するのが難しかった。社会の視線にとらわれずおのおのが自分だけのキャリアを築ける社会に変えるため、労働市場や住居の安定など最低限のセーフティーネットを政治が提供しなければならない」

「私は、国民の健康が政治の最も重要なテーマになるよう、時代を変える政治家になりたい。治療中心に設計されている保健政策を食事や運動を通じた予防中心に転換する。10年以内にやり遂げたい」

「日韓懸案、徹夜で議論したい」
革新系最大野党「共に民主党」田溶冀議員(32)
◇チョン・ヨンギ=1991年生まれ、当選2回の現役最年少議員。前期国会では兵役勤務の環境改善など若者の関心が高い分野で法改正を主導した

--学生時代にボウリング選手として全国制覇するなど異色の経歴を持つ

「韓国では多くの学校に一つずつ球技種目が設定されていて、たまたま私の学校がボウリングだった。中学・高校で専門的に活動し、大学でも体育教師を目指して勉強した。当時は政治の道に進む考えはなかった」

--政治に関心を持ったきっかけは

「大学生の時、ろうそくを手に抗議集会に参加し、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾罷免を実現させた『ろうそく革命』を直接経験して政治に関心を持った。大学には学業に集中できる学生がいる半面、私のように工場の日雇い労働で金を稼がなければならない人もいた。平等な社会を重視する進歩(革新)に魅力を感じ、共に民主党に入党した」

「政治活動では食べていけないので、大学卒業後、学校の近くで食堂経営もしていた。夜はビアホール営業で唐揚げもたくさん揚げて。国会では、自営業者を代弁する活動にも取り組んできた」

--進歩陣営では、1980年代の民主化を主導した学生運動出身者が中心勢力となって久しい

「いまだに『独裁と闘う民主化勢力』という大仰な話にとらわれている部分があり、市民が肌で感じられる政策に関する話が少ないと反省している。今回の総選挙を通じ、学生運動出身の『運動圏』と呼ばれる議員は党内でかなり減った。今後は政策の話を多く示せるのではないか」

--5月に竹島(島根県隠岐の島町)を訪れ領有権を主張した。日本に厳しい立場を取る党内でも特に「対日強硬派」と評されるが

「独島(トクト、竹島の韓国側表記)訪問は韓日関係の問題ではなく、われわれの固有の領土であるという立場から繰り返し行ってきた。ただ、『対日強硬派』というのは事実と異なる。われわれの世代で日本を嫌いな韓国人はほとんどいないし、私も何度も日本を旅行し、日本食が大好きだ。尹錫悦政権の『対日屈従外交』を批判するのはただ、対等な主権国としての対応を求めるものだ。誤解しないでほしい」

--日韓の懸案をどう解決すべきか

「これまで両国の政治家間で意思疎通が不足していた。私は日本の若い政治家と、夜を徹してでも深く話し合いたい。互いの立場を共有し、相手への誤解がなかったかも確認すべきだ。その上で協力関係を強化できれば、韓日が勝てない国はない。経済、文化など各分野でシナジー(相乗)効果を生みだせるはずだ」

--日韓共通の課題である少子化問題をどう解決する

「世界には『一人の子供を育てるには一つの村が必要だ』ということわざもあるという。親だけに集中している育児の負担を、共同体で分担する仕組みを作らなければいけない。その上で、共同体でカバーできない費用補助を政府が支援する枠組みが必要だ」

--最年少で再選を果たし政治家として順調なキャリアを築いている。将来的に大統領を目指す考えは

「私は、家の回りのごみ捨て場の問題に関心を持つ高卒の10代の若者などでも政治の道に進むことができ、生活に密着した政策が数多く提示されるのが望ましい政治風土だと考えている。政治家としての大きな夢を語るのは、そうした目標から遠ざかるようではばかられる。自分の経験や知識を誇示するのではなく、ひたすら有権者の話を聞く活動を続けていきたい」

原文出處 產經新聞