米航空宇宙局(NASA)は24日、「米国版はやぶさ」とも呼ばれる探査機オシリス・レックスが小惑星で採取した砂が入ったカプセルの回収に成功した。NASAにとって小惑星から砂などを持ち帰る「サンプルリターン」は初めて。小惑星の成り立ちや、地球の生命の起源の解明につながる可能性がある。探査機は2016年9月に地球から打ち上げられ、太陽を周回する小惑星ベンヌ(直径約500メートル)の表面からサンプルを採取。その後、地球に向かっていた。
探査機は24日朝、地上10万キロでカプセルを放出。カプセルだけが大気圏に突入し、パラシュートを開いて地上に落下し、NASAなどのチームがヘリコプターで米中部ユタ州の軍事施設で回収した。探査機は別の小惑星に向かった。
NASAのビル・ネルソン長官は「NASAは大きなことをする、我々を鼓舞するということをこのミッションは証明している」と語った。
今回のサンプルリターンの目的は大きく二つある。
一つは地球上の生命の起源についての手がかりを得ることだ。
生命の材料になる有機物は、小惑星の破片である隕石(いんせき)などによって地球に運ばれたという説がある。プロジェクトの主任研究者、アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ教授は「小惑星がもたらした『生命の種』が、この素晴らしい地球を生み出したと信じている」と語る。ベンヌは太陽系が誕生した46億年前の特徴を保っている可能性があり、地球に生命をもたらした存在を知ることにつながるかもしれない。
原文出處 朝日新聞