米下院監視・説明責任委員会の国家安全保障小委員会は26日、未確認飛行物体(UFO)に関する公聴会を開催した。米情報機関でUFOを含む「未確認空中現象」(UAP)の分析に携わった人物や海軍の元パイロットら3人が証人として出席し、政府機関が情報を議会や国民の目から隠蔽していると批判した。また自身らのUAPの目撃談なども証言した。
出席したのは、空軍の元情報士官で国家偵察局(NRO)のUAPタスクフォースに所属した経歴を持つデビッド・グラシ氏と、元海軍パイロットのライアン・グレーブス氏、元海軍中佐のデビッド・フレーバー氏の3人。
議会は2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防権限法で政府に対し、UAPに関する分析や調査結果を報告するよう求めている。グラシ氏は6月、各機関がUAPの情報を隠匿していると実名で内部告発を行い、今回の公聴会が開催されるきっかけを作った。
公聴会でグレーブス氏は南部バージニア州の飛行隊に所属していた14年に目撃した複数の正体不明の飛行物体について、「濃いグレーか黒色の立方体で、透明な球体の中にあった」などと語った。同僚の一人から、直径約1・5~4・5メートルの物体が2機のF18戦闘機の間を飛行したとの話を聞いたとも証言。UAPとの遭遇は「珍しいことでも1回きりのことでもない」と述べた。
フレーバー氏は空母艦載機に搭乗していた04年、西部カリフォルニア州沖で別のパイロットとともに「洋上に浮遊していた滑らかでつなぎ目のない卵型の物体」が「約3600メートル上空まで急上昇した」のを視認したと説明。その物体はさらに加速して姿を消し、およそ1分後に約100キロ離れた場所で探知されたという。空母へ帰還後に物体のことを伝えたところ、同僚が動画を撮影するのに成功したとしている。
グラシ氏は、米政府がUAPの機体のほかに、「非人類」のパイロットの遺体も確保していると主張。議員側から詳細をただされると、「自分自身で目撃したものではない」と伝聞情報であることを認めた。
グレーブス氏は「(目撃された)UAPが外国のドローンだとすれば緊急性の高い国家安全保障の問題であり、それ以外のものならば科学の問題だが、どちらにせよ航空の安全にとっての懸念だ」と指摘。フレーバー氏は「(目撃されている)技術はわれわれのものをはるかに凌駕(りょうが)している」とし、UAPが脅威になり得るとの考えを強調した。
公聴会に出席した民主、共和両党の議員からは「政府に情報の公開を迫るべきだ」(民主党のモスコウィッツ下院議員)などとする意見が相次いだ。
原文出處 產經新聞