防衛省が、任期制で採用している「自衛官候補生」の任期を現在の2~3年から延長する方向で検討していることが25日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。一般大学と同様に4年とする案が浮上している。新規採用者数を減らし、1人当たりの勤務期間を増やすことなどを通じ、採用難に陥っている自衛官候補生の確保を図る。同省は近く有識者会議で方向性を示す。
陸海空の各自衛隊は精強性を維持するため、若年層の確保策として任期制を採る。陸上は2年、海上、航空は3年を1任期とし、志願すれば2任期目から2年ずつ継続できる。3カ月間の訓練後、各部隊へ最下級の「陸士」「海士」「空士」として配属される。試験に合格すれば非任期の「曹」にも昇格できる。
だが、少子化を背景に採用競争が激化する中、今春採用の自衛官候補生は計画数9245人に対し、採用者数は半数以下となる見込みだ。同省は希望者が少ない理由の一つに任期の短さがあると分析する。退職前の約半年間は再就職へ向けた職業訓練を行うため、任期2年の陸上自衛官の場合、教育期間を除くと実質的に1年3カ月程度しかない。
そこで、任期延長して希望者を増やし、採用計画数は減らして達成率を上げる。新たな任期は4年程度とする案を軸に各自衛隊の戦力構成を見極めた上で判断する。任期制自衛官の大半が高校新卒生のため、同省幹部は「4年なら一般大学と同じ期間に相当し、再就職を見越して選択肢に加えやすくなる」とみる。
ただ、自衛官候補生を巡っては14日に岐阜市で自衛官候補生の男による銃撃事件が発生した。同省は事件の検証も踏まえ制度設計について総合的に判断する。
同省は2月に人材確保に向けた有識者会議を設置した。自衛官候補生を減らし、部隊の基幹となる非任期の「一般曹候補生」の割合を増やすなど抜本的対策を検討している。
原文出處 產經新聞