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矢板 明夫 : 香港当局、日本での言動を問題視 国家安全維持法違反で香港人留学生を逮捕


日本の大学に留学している香港出身の女子学生が香港に戻った後の3月上旬、日本での言動を理由に、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで治安当局に逮捕されたことが19日までに分かった。複数の香港人権団体関係者が明らかにした。「香港独立を支持するスローガン」を交流サイト(SNS)に転載したことが問題視されたという。外国での言動が国安法に適用された初のケースとみられ、海外在住の香港人の間で大きな不安が広がっている。

関係者によると、逮捕された学生は日本国内の大学に在籍。身分証明書を更新するために一時香港に戻ったところ、「国家の分裂を扇動した」として国安法違反の疑いで香港の治安当局に逮捕された。学生は日本留学中の約2年前、フェイスブックに香港の学生デモを支援するスローガンを転載した。その中に「香港独立は唯一の道」という言葉があり、香港当局がこれを問題視したとみられる。

学生はその後、保釈されたが、パスポートは没収され日本に戻ることができなくなった。5月以降に起訴されるかどうか決まるという。

台湾在住の香港の人権派弁護士、桑普氏は「民主活動家ではなく、外国に住む普通の大学生が、軽い気持ちでSNSに転載した内容を理由に逮捕されたことは海外の香港人に大きな衝撃を与えた」と話している。「どこにいても中国当局に監視される。外国での言動も厳罰に処されるという恐怖により、中国を批判する人は激減するだろう。これが中国当局の狙いだ」と指摘した。

2020年に香港で施行された国安法は「国家分裂」や「外国勢力との結託」など4つの行為を犯罪と規定。第38条は、香港人だけでなく「香港に恒久的な居住権を持たない者」も「香港以外(の場所)で本法が定める犯罪を行った場合は本法を適用する」と明記している。外国人が香港以外の国や地域で行ったことも処罰対象になると受け止められ、当時から懸念の声が上がっていた。

東京大の阿古智子教授は「香港の法律である国安法が域外で適用されることは大きな問題だ。これからは香港人だけではなく、日本人も香港問題について意見を言ったり、論文をまとめたりすると犯罪者にされてしまう可能性がある。このような事例が積み重なれば、日本の言論、学問の自由も侵される」と警鐘を鳴らす。

原文出處 產經新聞

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