台湾の蔡英文総統は10日、建国記念日に相当する「双十節」を祝う式典で演説し「台湾は民主的な社会を決して放棄することはない」と強調し、軍事的圧力などを通じて台湾との統一を目指す中国を強く牽制した。その上で「武力衝突は絶対に私たちの選択肢ではない。対等の立場で、台湾海峡の平和を維持する方法を探っていきたい」と言及し、中国と対話したい姿勢をアピールした。
蔡氏はこの日の講演で、中国軍が近年、台湾に対し挑発行為を繰り返していることを念頭に「軍事拡張路線による自由で民主的な世界秩序への挑戦を無視することは絶対にできない」と述べた。その上で、台湾は中国の一部になることを望んでいないと強調し「主権と、自由で民主的な生活を守らなければならないことは台湾の与野党の共通認識だ。この点に関して、われわれに妥協の余地はない」と強調した。
蔡氏は、中国によるサイバーテロや偽情報(フェイクニュース)攻撃にも言及し、「台湾は海外からの意図的な破壊行為に直面している」と説明し「偽情報を調査する体制を強化し、情報戦による威嚇に対抗していく」と宣言した。
蔡総統は「台湾はいま、国際社会において自由と民主主義の価値観を象徴する存在になっている。台湾の安全を守ることは、地域の安定と民主主義的価値観を守ることと同じだ」と指摘し、国際社会に対し台湾への支持を訴えた。
双十節を祝う式典は10日午前、台北の総統府前広場で行われ、台湾と外交関係を結ぶパラオのウィップス大統領が出席した。パレードには8日から台湾を訪問している古屋圭司衆院議員が率いる日華議員懇談会メンバー19人が参加した。京都橘高校の吹奏楽部も招かれ、演奏を披露した。
原文出處 產經新聞