栃木県真岡市高田の市歴史資料保存館に設置されていた二宮金次郎(尊徳)の銅像がなくなっていることが5日、わかった。市教育委員会から被害届を受理した真岡署が窃盗事件として捜査している。
市教委によると、3日午後、保存館南側で練習していたグラウンドゴルフ愛好会のメンバーが金次郎像がないことに気付き、近くの駐在所に通報した。
金次郎像は銅製で高さ約1メートル。大谷石の台座に据えられていた。銅像の足を台座に固定するためのコンクリート部分が壊されていた。10月21日には銅像があったことが確認されている。
保存館は2009年、廃校になった旧二宮町立物部小高田分校を活用して開館。明治時代の民具や農具、古文書などを保管しており、管理者は常駐していない。銅像は、分校時代の1978年、正門近くに建てられ、そのまま残されていた。
現場は、尊徳の活躍拠点で国指定史跡「桜町陣屋跡」(同市物井)から南東約2キロのいわば、お膝元。発見時にグラウンドゴルフに参加していた70代の女性は「金次郎は私たちの誇りであり、心のよりどころ。盗むなんて許せない」と話した。
市教委によると、尊徳にゆかりが深い真岡市内には、金次郎像が多い。小学校など公的施設27か所にあり、このうち銅製は13か所あるといい、関係機関に注意を呼びかけている。
真岡署はパトロールを強化する一方、価格が高騰する銅に目を付けた窃盗事件を視野に入れ捜査している。
原文出處 讀賣新聞 20211106