ロシアのウクライナ侵攻で、中国は得をするのではないか。そんな疑念を想起させる中ロの合意が、先月結ばれました。ロシアが天然ガスを長期供給する大型契約で、中国が「漁夫の利」を得ることになるかもしれません。中国のエネルギー事情に詳しい、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の竹原美佳・上席研究員に中ロの思惑について聞きました。
――中国はロシア寄りの立場をとっていますが、現時点で得をしていることはあるのでしょうか。
まず、ウクライナ危機がどの程度悪化するかによりますが、中国はエネルギーの輸入国なので、価格上昇で困っています。政府は物価の上昇を抑えたいと強く思っているはずですが、ガソリン価格は今年に入り、すでに5回も基準価格が上がっています。現時点では、もろ手を挙げて歓迎という状態ではないと思います。
――ただ、ロシアのプーチン大統領が北京冬季五輪にあわせて訪中した2月4日、中国に天然ガスをパイプラインで30年間供給する大型契約を結びました。ウクライナ侵攻後、欧州へのパイプラインが止められることを見越したような動きです。
原文出處 朝日新聞