ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナ。凄惨(せいさん)な戦況が刻々と伝えられ、170万人以上がウクライナから国外に退避するなか、逆に海外からウクライナ入りする志願兵の数が2万人を超えた。
どんな人々なのか。19歳の英国人男性に話を聞くことができた。
今月上旬、ロンドン市内のウクライナ大使館前に男性が1人やってきた。小雨の中、ジャンパーのフードを頭にかぶり、しばらく立ち尽くしていた。
リュックを背負い、足元は作業用ブーツ。ひざあての入ったズボンをはいている。
大使館の前には「プーチンよ、ただちに戦争を止めろ!」「ウクライナと共に立ち上がる」などと書かれたメッセージやヒマワリが置かれている。男性はそれらを一つ一つ眺めているようだった。
しばらくして、男性は大使館のインターホンを押した。インターホン越しに何かを伝えると、大使館から担当者が出てきた。
男性が来る前にも寄付金などの持参で訪ねてくる人々が絶えず、大使館はインターホン越しに別の住所地に行くように案内するだけだったが、この男性への対応は違った。
短いやりとりの後、男性は担当者に示された紙をスマホで撮影した後、立ち去ろうとした。大型の映像機材を構えた米メディアの記者が呼び掛けたが、男性はほとんど応じず、その記者の名刺を受け取り立ち去った。
私は大使館から離れて男性を追いかけ、地下鉄駅に通じる道で声を掛けた。私がカメラ機材などを手に持っていなかったからなのか、男性は「少しだけなら」と立ち止まってくれた。
ロンドン北部で暮らす英国人(19)だった。
原文出處 朝日新聞