ロシア軍によるウクライナ侵攻について、台湾のシンクタンク「台湾智庫」の頼怡忠諮問委員に聞いた。
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ロシアによるウクライナ侵攻は、台湾にとって決して人ごとではない。中国による台湾侵攻を念頭に、高い関心をもって戦局の推移に注目している。これまで1週間余りの攻防と国際情勢の変化が、多くの示唆と教訓を与えてくれた。
まず言えるのは、米国の情報は非常に正しいということだ。米政府は戦争の気配があまりなかった2月中旬から「侵攻の可能性が高い」と繰り返して警告を発していた。その情報収集と分析能力の高さが裏付けられた。
米軍の高官が昨年、米議会公聴会で、中国が2027年までに台湾に侵攻する可能性があると証言した。台湾はこうした米国の警告に真剣に耳を傾けるべきだ。米国との連携をさらに強化する必要もある。ウクライナ侵攻のさなか、バイデン米大統領が元米軍制服組トップのマレン氏を団長とする訪問団を台湾に派遣してくれたことは、台湾にとり大きな自信となった。
今回、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアに屈することなく、国民の先頭に立ってウクライナ軍とともに勇敢に戦っていることも、台湾にとって見本となる。その姿が国際社会を感動させ、当初、ウクライナ支持に消極的だった国々の態度が徐々に変わり支援の輪が広がった。もし将来、中国が攻めてきた際に台湾が国際社会の支持を得るには、台湾の指導者と民衆が故郷を守る決意と努力をまず見せなければならない。
欧米が主導するロシアへの厳しい経済制裁が、どこまで効果があるかも関心がある。特に、ロシアの銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す措置は、ロシア経済にどこまで影響するか。ロシアが短期間で耐えられないなら、中国が同じ制裁を受けた場合も耐えられないはずだ。
今回のウクライナ戦争の結果は、台湾の今後の運命を左右する可能性がある。ロシアが勝てば、中国による台湾侵攻の可能性が高まり、失敗すれば、習近平(国家主席)氏は台湾侵攻を躊躇(ちゅうちょ)するに違いない。
原文出處 產經新聞