第49回衆院選は31日投開票され、自民党は単独過半数(233議席)を確保した。
自民、公明両党では公示前勢力(305議席)から後退したが、国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」(261議席)も押さえた。
岸田文雄首相(自民党総裁)は自らが据えた勝敗ラインである「自公で過半数」を超えたことで、続投する。枝野幸男代表が率いる立憲民主党は、公示前勢力をうかがう情勢だ。
ほかの4野党と候補者を一本化した小選挙区の多くで与党と接戦を演じ、共闘で一定の効果を発揮した。日本維新の会は公示前の11議席から約3倍増となる見込みだ。
小選挙区の投票率は朝日新聞の推計で55・33%前後となる見通し。戦後2番目の低水準となった前回2017年衆院選の投票率53・68%を上回るものの、戦後3番目の低さとなりそうだ。
4年ぶりとなった衆院選で、自民党は支持率が低迷した菅義偉前首相に代わり、新しい「選挙の顔」として岸田文雄首相を選んで臨んだ。自民は公示前勢力(276議席)から後退しそうだが、単独過半数を確保し、公明と両党で「絶対安定多数」(261議席)を維持した。
首相は「結果をしっかり受け止め、今後の党のあり方、党改革をはじめ、さまざまな取り組みを考えていかなければいけない」と語った。自民は小選挙区でベテラン勢の苦戦も目立ち、東京8区では自民党の石原伸晃元幹事長が敗れた。
一方、与党の公明党は比例全11ブロックで議席を確保。小選挙区9区でも全勝し、2019年参院選の大規模買収事件で実刑が確定した河井克行元法相の地盤だった広島3区では、斉藤鉄夫国土交通相が当選した。自民党が議席を減らす状況について山口那津男代表は、「1年半余りコロナで大変な状況が続いた。国民の厳しい評価が今も残っている」と話した。
共闘を進めていた野党は、公示前勢力をうかがう情勢だ。
第1党の立憲民主を中心に、共産、国民民主、れいわ新選組、社民の5党は全国289の選挙区のうち、217選挙区で候補者を一本化。立憲は衆院定数の過半数にあたる240人を擁立し、枝野幸男代表も「政権選択の選挙」として与党との対決構図を強調してきた。枝野氏は「多くの選挙区で接戦に持ち込め、一定の効果があった」と語った。
一方、小選挙区では茨城7区の中村喜四郎氏、岩手3区の小沢一郎氏らベテラン勢が落選した。
公示前の1議席の維持が焦点となっていた社民党は議席を確保した。
野党共闘とは一線を画す日本維新の会は公示前勢力(11議席)から3倍増と躍進しそうだ。選挙戦では関西限定だった支持層の全国拡大を課題に掲げており、今回の結果を来夏の参院選につなげたい考えだ。
自民党は31日、無所属で立候補して当選した柿沢未途氏(東京15区)、田野瀬太道氏(奈良3区)を同日付で追加公認した。
原文出處 朝日新聞