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警視庁保管の証拠データ破損 覚醒剤事件、逮捕日のカメラ動画


覚醒剤取締法違反の罪に問われた男の公判前整理手続きで、東京地検が証拠品として開示したDVD内の動画データが破損して逮捕日の動画が見られない状態になっていることがわかった。逮捕当時の男や警視庁の警察官の行動が、11月1日に始まる公判の争点になっている。

破損したのは、2020年1月8日に男の自宅前を秘匿カメラで撮影した動画データ。この日、車で帰宅した男を警察官が取り押さえ、同法違反(所持)の疑いで逮捕した。男は使用の罪で起訴された。

弁護側は東京地裁での非公開の公判前整理手続きで、男が逮捕直前、男の車にあったペットボトルの水を警察官から渡されて飲み、その中に知人が使った覚醒剤が混じっていたと主張。故意には摂取していないと無罪を訴えた。検察側はペットボトルは未開封だと反論した。

動画の存在、弁護側の証拠開示請求で判明
弁護側は、客観的に主張の真偽を確かめるため、逮捕時の様子を撮影した動画を証拠として開示するよう要求。検察側は当初「撮影していない」と否定したが、秘匿カメラの存在を弁護側に指摘されると、8日間分ある動画のうち逮捕日の映像のみが「破損して見られない」と答えた。撮影したのは男を確保する直前までで、その後は撮影していないとも主張した。

これを受け地裁は今年6月、捜査主任だった警部補に対する異例の証人尋問を公判前整理手続きで実施した。警部補は、確保した様子を撮影しなかった理由について「男を確保するため捜査車両のエンジンを切って車を降りたら、車内の映像受信機の電源が切れた」と証言したという。

検察側、「データの書き込みで閲覧できなくなった可能性」
検察側は9月、地裁や弁護側に、愛宕署内で保管中に行われたデータの書き込みで閲覧できなくなった可能性があると説明。破損データを解析したところ「(データの書き込みを可能にする)『フォーマット』がされた記録」があったとした。この書き込みと破損の関係はわかっていないが、破損の原因は今後も調べるという。

弁護側は、故意に証拠が隠滅された可能性があるとして警察側を告発する方針。警視庁は朝日新聞の取材に「公判中のためコメントは控える」としている。

原文出處 朝日新聞

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