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100匹のネコがいる島、7年ぶりの衆院選投票 前回は投票できず


悪天候が続いたために2017年の前回衆院選で期日前投票所が設置できなかった愛媛県大洲市沖の青島で22日、衆院選としては7年ぶりの期日前投票があった。4年前に電話で島民に取材した記者が島に渡り、久しぶりに実施された投票を取材した。

大洲市の長浜港から北に約13キロ。約100匹のネコがいる「猫の島」として知られる青島には、現在3世帯5人が暮らす。島に渡るには、片道約35分の航程を1日2往復している定期連絡船「あおしま」(19トン)が唯一の公共交通機関だ。4年前の衆院選時には、連絡船が点検と台風のため13日連続で欠航し、投開票日も含めて島民が投票できなかったことが話題になった。

この日は長浜港を午前8時に出発する連絡船に、大洲市選挙管理委員会の職員2人と乗り込んだ。青島に着くと、選管職員が台車に載せた選挙用具一式を船着き場近くの「青島コミュニティセンター」に運び込んだ。1日だけの青島期日前投票所は、1階の「娯楽教養室」に設置された。

午前9時半の投票所設置を待ちかねたように島民が次々と投票に訪れた。投票は立会人の島民2人を含む計5人が投票を済ませた午前10時過ぎに終了。このあと投票所が閉まる午後3時半まで、5時間以上も静かな時間が流れた。

立会人を務めた紙本英則さん(71)は「島に候補者は来ないので盛り上がりに欠けるが、意思表示をできてよかった」と話した。船着き場近くには島唯一の選挙ポスター掲示場があったが、愛媛4区の候補者5人のうち2人のポスターしか貼られていなかった。

記者が4年前に電話で話を聞いた紙本さんの妻の直子さん(71)も午前10時前に投票に訪れた。面識がないまま電話した記者に、「せっかく選挙権があるのに、もったいないけどどうしようもない」などと正直に話してくれた人だ。島のネコたちの世話もしている直子さんは投票を終えると、「ここで選挙があるうちは投票に来ようと思う。わたしらの一票を何かに生かしてもらえれば」と話した。

直子さんによると、島での暮らしは「選挙に限らず天気に左右されるので、何があるか分からん」そうだ。船が出ないばかりに、通院する病院の予約変更を強いられることもしばしばあるという。選挙に関しては、たまに投票依頼の電話はあるものの、候補者が来ることはほぼないという。「前回はこの一票が惜しいなと思ったよ。今回の一票は、たかが一票やけど重みがあるよ」と笑った。

船が出ない限り実施できない期日前投票。大洲市選管は今回、期日前投票所を早めに設置することで投票機会を確保しようとした。前日の21日はあいにく船が欠航して延期になったが、2日目に念願がかなった。選管の担当者は「海が荒れる時期なので気をもんだが、よかった」とほっとした様子だった。

原文出處 朝日新聞

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