環太平洋連携協定(TPP)に加入申請した台湾当局の交渉トップ、TPP問題担当閣僚の鄧振中政務委員は19日までに、産経新聞のインタビューに応じ、TPP加入について「国際貿易自由化の流れに取り残されないための必要措置だ」と強調する一方、日本が今年、TPP議長国を務めていることを念頭に、加入実現に向けたワーキンググループ(作業部会)の早期創設を訴えた。
台湾の対外貿易の現状について、鄧氏は「輸出産業は台湾にとって非常に大事だが、政治的な理由で自由貿易の枠組みへの参加が遅れているのが実態だ。今後、さらに不利をこうむる可能性がある」と指摘した。中国の妨害などにより、台湾が国際貿易の枠組みへの参加やほかの国とのFTA交渉などで難航している現状も明らかにしたうえで「台湾にとってTPP加盟は大きなチャンスだ」と力説した。
中国が反対を表明したことについて「中国には大きな市場があり、外交力もある」と中国の影響力の大きさに言及し、「中国が台湾より先にTPPに加入するようなことがあれば、台湾に大きな不利になることは確かだ」と分析。そうした状況を阻止するためにも「台湾はルールを守る信頼できるパートナーであることをアピールし、できることは一歩ずつ推進していくしかない」と強調した。
鄧氏はさらに「私たちはこれまで5年間、法整備を含めてさまざまな準備を重ねてきた。労働者の権益や環境保護などの条件をクリアしている」とも述べた。TPP加入には、「台湾を受け入れるワーキンググループの早期の立ち上げが必要だ」と訴え、「日本のような自由と民主主義などの価値観を共有する国から支援も期待している」と述べた。
対日交渉のネックとなる可能性がある東日本大震災の被災地、福島県など5県の食品輸入解禁問題について、「この問題に真剣に向き合い、対処していく」と述べたうえで、「国民の健康を守る、科学的根拠に基づく、国際基準に基づく、という3つの原則に違反していなければ、輸入をとめる理由はない」とし、日本政府との交渉を通じてこの問題を早期に解決する考えを示した。
原文出處 產經新聞