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TVドラマ主人公が就く「職業ランキング」ベスト9 医者や教師よりも多い職業とはいったい?


子どものなりたい職業第1位は「会社員」

今年3月、第一生命保険が発表した、小・中・高生の「大人になったらなりたいもの」調査結果は、ちょっとした話題となりました。男子は小・中・高すべてで、女子も中・高の第1位が、「会社員」だったからです。

コロナ下で、両親ともにリモートワークが増え、自宅で仕事する姿を多く目にするようになったことや、そもそもの将来への不安から、「会社員」を志望する子が増加しているとの分析がされていますが、少々寂しい結果ですよね。

こうした「なりたい職業/憧れを抱く職業」のキッカケとして、大きな影響を与えるモノに、テレビドラマの主人公たちの職業が挙げられることがあります。

『あぶない刑事』(日本テレビ系)や『踊る大捜査線』(フジテレビ系)に憧れて刑事を、『3年B組金八先生』(TBS系)や『GTO』(フジテレビ系)を見て教師を、『ナースのお仕事』(フジテレビ系)や『救命病棟24時』(フジテレビ系)を見て医療従事者を志したなんて方もいらっしゃると思います。

先述の第一生命保険のランキングを見ても、「刑事(警察官)」は男子小学生で7位、中学生で10位、「教師」は男子小学生で10位、中学生で9位、高校生で5位、女子は小学生で2位、中学生で5位、高校生で4位。「医師・看護師」は男子小学生を除く小・中・高すべてでトップ10入り。今も尚、根強い人気を誇っているのが判ります。

このように、通常では子どもたちがその詳細を知る機会の少ない職業を知り、または憧れるキッカケとして、テレビドラマが少なからず影響しているのは間違いないのでは。

そこで、「現在のテレビドラマの主人公たちは、どんな職業に就いているのか」という疑問を解消しようと、筆者は一大調査を敢行してみました。

調査の対象としたのは、21世紀以降(2001年1月~2021年4月クールまで)の、民放(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビの在京キー局、及び各系列局)で制作された20~25時(深夜1時)台スタートの全連続ドラマ。実に1309作品ありました!

ちなみに、2001〜2010年までの10年間の総数は578作品だったのに対し、2011〜2021年までの約10年は731作品と、150作品以上増加。以前は連続ドラマ制作に積極的ではなかったテレビ東京系が2005年頃から徐々に制作数を増やしたり、各局で近年、深夜帯などのドラマ枠が激増していることなどが大きく影響していると思われます。

調査の前に、筆者は何の職業が最も多いのか予想してみました。恐らく、多くの皆さんも「アレじゃない?」と予測されたと思いますが……そう、最も多かったのは「刑事(警察官)」でした。

総数248作品! 民放連ドラの5つに1つは刑事ドラマなんですねぇ。

面白いのは、コレを各局別に分類してみた結果。実に刑事ドラマ全体の約58%にあたる144作品がテレビ朝日系でした。2002年から連ドラとしてスタートした『相棒』(現在シーズン19まで放送)や、2006年からの『警視庁捜査一課9係』(現在は『特捜9』にタイトル変更)、2016年からの『警視庁・捜査一課長』など、人気の安定した長期シリーズがその数を伸ばしているのは言うまでもありません。

“王道の刑事ドラマはテレ朝”というブランドのようになっていると言ってもいいでしょう。

刑事の次に多いのは…

この「刑事(警察官)」に次ぎ、連ドラで多い職業は……意外にも一般企業の会社員なんですねぇ。全部で213作品ありました。局別にみるとTBS系とフジテレビ系が約30%ずつを占めているというのも、どこかイメージ通り。

近年は『着飾る恋には理由があって』(TBS系/2021年)の、インテリアメーカーの広報課でSNSを担当する真柴くるみ(川口春奈)のように、恋愛ドラマの主人公の職業として多い傾向があります。冒頭で「小・中・高生の憧れが会社員という結果に驚き」と記しましたが、この結果を鑑み、あながちナシではないかなという気も。

続いて3番目に多かったのが、医療従事者(医師・看護師)。114作品ありました。『DOCTORS~最強の名医』(2011年~)や、『Doctor-X~外科医・大門未知子』(2012年~)など、シリーズ化作品も多いテレビ朝日系の印象も強い医療ドラマですが、局別に最も多かったのは、フジテレビ系。全体の約32%を占めています。

シリーズ化された『救命病棟24時』(1999~2013年)や、『医龍~Team Medical Dragon』(2006~2014年)、『チームバチスタの栄光』シリーズ(2008~2014年)、『コードブルー~ドクターヘリ緊急救命』(2008~2017年)などなど、このジャンルはフジテレビのお得意ですかね。

以下、駆け足でご紹介していきましょう。

4番目は……教師。全部で81作品です。ここで存在感を発揮していたのはTBS系。全体の約31%を占めています。『3年B組金八先生』(1979~2011年)という、学園ドラマの金字塔を打ち立てた局としての矜持も感じられますね。

5番目は……探偵。全部で55作品。この中の実に約42%が日本テレビ系というのも面白い結果でした。近年も『美食探偵 明智五郎』(2020年)、『ネメシス』(2021年)など、順調に数字を伸ばしています。

6番目は……弁護士。全部で37作品。『リーガル・ハイ』(2012、2013年)や『SUITS/スーツ』(2018、2020年)など定期的にこのジャンルに作品を送り込んできているのが、フジテレビ系で全体の約38%を占めています。

またフジテレビ系は、法曹ドラマの開拓も試みており、検察官を主人公にした『HERO』(2001、2014年)や、裁判官を主人公にした『イチケイのカラス』(2021年)と意欲的に幅を広げている感も。

7番目は……編集者。全部で36作品。これは近年増加傾向にあって、今年=2021年だけでも『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)、『リコカツ』(TBS系)、『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています』(日本テレビ系)と3作品もあります。

続いては、『書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活』(テレビ朝日系)や、『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)、『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)など、これも近年増加している作家(脚本家・漫画家含む)が、27作品。

『グランメゾン東京』(TBS系/2019年)や、『シェフは名探偵』(テレビ東京系/2021年)など、これも根強い人気を誇る料理人は、23作品でした。

どうです? 皆さんの予想した通りでしたか?

“職業ドラマ”の役割

これまで触れてきた職業は、ある程度イメージの固まったもの。マァそれも、ドラマが作ったものかもしれませんが。だからこそ、細分化してみたり、視点を変えてみたりと、様々な工夫を凝らしています。そして、さらなる“鉱脈”を探すべく、恐らく今日もどこかで新たなジャンルの職業を模索し続けているはずです。

例えば、『海猿 UMIZARU EVOLUTION』(フジテレビ系/2005年)で魅力的に描かれたことが、過酷かつ認知度も高くなかった海上保安官の志望者を激増させるという現象を生み出したように、ドラマで描かれた職業が、社会的な意義を持つことだってあります。

これからの社会を担う子どもたちが憧れるような、魅力的な“職業ドラマ”の登場を期待したいものですね。

原文出處 東洋經濟

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